リニア中央新幹線計画はいけいけドンドンでいいのか?奈良駅誘致合戦ではなく、リニアそのものについてよく、考えようと学習交流会
近藤宏一・立命館大学教授、生駒の里山守る会、県議会と3つの市が報告
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8月27日、リニア中央新幹線を考える学習交流会を開催。65人が参加しました。共産党県議団は、同学習会にあわせて、宮本次郎県議が県議会での論戦を報告するとともに、リニア新幹線計画の問題点などを提起。議会での論戦を中心にした「県政資料」を作成し、配布しました。
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近藤教授は、「危なっかしい計画であることは間違いない」と多くの課題での問題点を指摘しました。リニア新幹線は人を運ぶのに早いというが、〇鉄道に求められるのは速さだけではなく、物資の輸送量、安全性も欠かせない。安全性では今の新幹線がすでに確立しており、また、物資輸送量はリニアは無理に近い、物資輸送の点では海運の方が圧倒的に多い、〇「二重系化」とJR東海が説明しているが、リニアは東海道新幹線、東名高速道路とほぼ重なりあった路線であり、地震など大災害が発生すれば同時に被災する位置関係にあること、他の新幹線網を使えば人なら運ぶことができること、〇経済社会への波及効果も強調されているが、山梨県や三重県などが波及効果の試算をおこなっているが、いずれも現状の1%を割り込む程度であり、波及効果が大きいとは言えず、逆に投資の費用対効果ではきわめて疑問が大きいこと、〇安全性がまだ確立できていないことから、「安全神話」を振りまくのではなく、すでに安全性を確立している現状の新幹線を売り込むことのほうが先決であることなどを指摘。奈良県にとってのリニア新幹線は、現在でも県外での消費(購入)が多い奈良県から、いっそう県外消費がすすむ恐れがあること、事業所の流出がすすむ恐れがあることなど「ストロー現象」について解明しました。また、奈良観光とリニア新幹線との関係について、もともと奈良観光とは歴史と文化にふれながら、ゆっくりとおこなうのが特徴であり、現在でも在来線や新幹線をつかって奈良観光を楽しんでいる場合が多数であり、リニアの駅ができたからといって、奈良観光が増えるとは考えにくいこと、さらに、奈良らしさの魅力開発、魅力発信なしには観光客は増えるものででゃなく、駅誘致よりも、魅力開発、魅力発信に取り組むべきだと指摘しました。
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生駒市の里山を守る会の溝川氏は、駅誘致は自然を破壊しないとできないことであり、目先のことではなく、リニアの本質的なこと、生駒市のまちづくりをどうすすめるのかといったことをみんなで考えたいと訴えました。宮本次郎県議は、県議会での駅誘致合戦の様相を呈している実態を報告しながら、鉄道や道路開設による「ストロー現象」は奈良県にとって初めてのことではなく、近鉄線の開通や道路整備の促進で、吉野郡からの人口流出、買い物が地域外に流出したり、役場の職員でさえ盆地部に居住する例が増えてきていると指摘しました。
奈良市、大和郡山市、生駒市議会議員が現状を報告しました。
(了)