こんにちは。奈良県議会議員団[奈良県議団]です。

[2016.6.15] -[活動日誌議会報告]

登大路ターミナル 奈良公園の風致景観破壊と新たな渋滞発生懸念

登大路バスターミナルは県庁周辺での新たな交通渋滞を発生させる

公園内に大型複合施設建設はやめるべき

6月県議会・代表質問

小林てるよ議員が知事にせまる

 

 開会中の6月定例奈良県議会で13日、小林てるよ議員が代表質問にたち、奈良県が名勝・奈良公園内の県有地に建設しようとしている「登大路バスターミナル」が、設置の目的としている公園周辺での交通渋滞を解消するのではなく、建設されれば、今度は県庁周辺での交通渋滞を招くのではないかとただし、みとい池・吉城園園地(「南都八景の雲井坂、轟橋の立地地含む)に隣接してこれほどの大型建築物を建設すれば同地の風致景観に重大な影響をあたえることを指摘し、計画を抜本的に見直すよう求めました。

 本会議での質疑を紹介します。

 小林てるよ議員  最後に、(仮称)登大路バスターミナルの整備についてお伺いします。

奈良公園は、世界遺産「古都奈良の文化財」に代表される数多くの文化財、史跡・名勝と原始林の自然環境が一体となった歴史的・文化的風致景観が形成されています。

 奈良公園の魅力は、都市機能がもつ「にぎわい」ではなく、数千年の歴史の中で形成され、受けつがれてきた社寺の文化財や宗教儀式・行事、若草山・春日山の峰々、観光客を迎える「奈良の鹿」など、歴史的・文化的景観と自然が一体となった「古都の静かなたたずまい」です。

 市民の生活や精神のなかに「心のふるさと」として生き続け、「奈良らしさ」を代表する奈良観光の核心地域であり、故に文化財保護法や古都保存法、風致地区条例などによって適切に規制、誘導されてきました。

 県は、奈良公園を「世界に誇れる公園」にすることを目的に、2011年3月「名勝奈良公園保存管理・活用計画」、2012年2月には「奈良公園基本戦略」を策定し、奈良公園の価値の「維持」と「利活用」を図る取組をまとめ、示しました。

 こうして「奈良公園基本戦略」に基づき、若草山にモノレール、(仮称)登大路バスターミナル、吉城園周辺地区、高畑町周辺地区などの検討や計画が進められ、奈良公園は大きく変わろうとしています。

 若草山へのモノレール検討には、「景観は守るべき」「貴重な文化的景観を守れ」と多くの県民や国内外から声があがりました。

 現在、進められつつある「(仮称)登大路バスターミナル」は、公園内の慢性的な交通渋滞の解消が目的でしたが、バスターミナルは交通渋滞解消につながらないのではとの指摘もあり、次々と施設の計画が変わり、大規模な複合施設へと変化してきたものです。

 この計画については、昨年夏の奈良公園整備検討委員会では、「建物が大きすぎる」「圧迫感がある」「奈良公園の中心的な施設に近接するものとして、ふさわしくない」などの指摘もあり、当初計画された3階建の構想は、若草山や興福寺五重の塔を一望する景観を大きく損ねるという議論を受け2階建に変更されました。

 しかし、2階建に変更し、提案した3月の「検討委員会」でも大規模な建造物が奈良公園の景観に影響するという危惧の声がありました。

 一方、渋滞解消を期待する声もありました。

 しかし、この計画では、駐車スペースは14台しかなく、大型バス等の乗降場とするものであり、バスの乗降に時間がかかり、バスや車が県庁前道路に新たな渋滞をつくりだすことになる恐れがあります。

 そこで、知事にお尋ねします。

 「奈良公園基本戦略」では、奈良公園の価値とは「奈良公園の自然資源、歴史・文化資源、公園資源、および各資源が融合した独特の風致景観である」といわれています。

 県が「奈良公園基本戦略」に基づき事業化を進めた「(仮称)登大路バスターミナル整備」は、奈良公園の価値を損なうものであり、これだけの大規模な建物は必要なく再検討されるべきと考えますが、いかがでしょうか。 

 次に、(仮称)登大路バスターミナルによって、新たな交通渋滞が発生する可能性があると考えますが、いかがでしょうか。

* 

 荒井正吾知事答弁  奈良公園の価値をさげるものとおっしゃいましたように聞こえましたが、奈良公園の価値を上げるものと思っております。

 奈良公園には自然、歴史、文化など豊富な資源がございます。これら資源が融合した独特の風致景観が奈良公園の独特の価値であると認識しております。しかし、現状を見ておりますと、春日山原始林の荒廃や吉城園周辺地区、鹿苑など施設の老朽化、さらには世界遺産のバッファゾーンとなっている奈良公園周辺での交通渋滞など多くの課題を抱えているのが実情でございます。このたび奈良公園が100年後も良好な状態で世界に誇れる公園であるためには奈良公園の価値を十分に認識し、活用することが必要と考え、平成24年2月に奈良公園基本戦略を策定したものでございます。これまで基本戦略にもとづく取組も数多くしておりましたが、小林さんのところはよく反対されましたが、好評を博しているものが数多く、ございます。

 春日山原始林の保全、再生や猿沢池周辺での樹木の植栽、伐採による景観形成、また近鉄奈良駅前の行基広場の大屋根、ぐるっとバスの運行、大仏殿前バス駐車場管理システム、奈良春日野国際フォーラムのい・ら・かのコンベンション機能の充実、大仏殿前交差点までの北側歩道の整備、鹿苑の外周柵の整備、若草山麓の苑地案内サイン、無料ワイファイなど様々な取組を奈良公園中心におこなってまいりました。

 また奈良公園におきまして、奈良灯花会、奈良瑠璃会イベントを継続的におこなってまいりました。このようにいろんな角度から奈良公園の魅力向上に努めて参りました。今後も吉城園周辺地区や高畑裁判所跡地など、奈良公園の一等地にもかかわらず、活用されていない場所の整備に取り組んでまいりたいと思っております。

 その中でも仮称登大路バスターミナルは奈良公園の魅力を向上させる役割をになっております。本施設は奈良公園内へのベスの流入を抑制するとともに、来訪者の皆様を奈良公園の玄関口でお迎えし、奈良の歴史文化を学び、奈良公園を満喫していただく施設でございます。この施設は名勝奈良公園内で整備をおこなうことから、これまで文化庁や奈良公園地区整備検討委員会と十二分に協議をおこなってまいりました。景観の観点についても、若草山など人のあつまる視点場を設定し、近望、遠望からの見え方に配慮するなど慎重に検討をおこなってまいりました。

 このことを踏まえまして、地域景観を含めた奈良公園の価値を十分した計画としており、文化庁や奈良公園地区整備検討委員会にも十分理解をいただいてきたところでございます。結果といたしまして4月中旬に、現状変更の許可を文化庁に申請しているところでございまして、ご理解いただけるものと考えて、その返事を待っているところでございます。

 この登大路ターミナルで新しい交通渋滞が発生するが、どうかということでご質問がございました。交通渋滞は解消されます。そのような機能を十分にもっております。奈良公園周辺では春秋の観光シーズンや修学旅行シーズンには多くの大型観光バスが奈良公園内に流入して、渋滞を引き起こし、奈良公園の良好な風致景観を大きく損なっている実情がございます。これらの大型バスは大仏さまをちょっと見て帰られるために、大仏殿前の駐車場に頻繁に出入りされ、奈良公園の渋滞の大きな要因となっております。

 仮称登大路バスターミナルは奈良公園のエントランス部に設けることにより、公園内へのバスの流入を抑制し、来訪者の周遊環境を向上させるための整備をおこなうものでございます。このため大仏殿前バス駐車場に向かう大型バスを抑制することがまず第一でございます。登大路バスターミナルではバス駐車場予約システムにより、観光バスの到着時間をずらすことで混雑を緩和し、乗り降りや乗り継ぎをしていただいた後、バスを郊外の駐機場所へ誘導することにしております。バスの駐機場ではなく、乗降場であるとの考え方で何度も申し上げておりますが、そのような考え方でございます。

 一般車に対しましては、事前の広報により郊外の駐車場に車を止めてバスを利用していただくパークアンドバスライドを推奨することとしております。あわせて、新たにバスターミナルに設置致しますコントロールセンターにおいて県営駐車場だけでなく、近隣の民間駐車場の情報を提供するなど総合的に、奈良公園周辺部における渋滞の緩和を図ってまいりたいと思っております。

 今、大型バスはできるだけ奈良公園に入れないことが大事でございますが、今回、整備するバスターミナルは乗降や乗り継ぎを主目的とするもので、そのためのスペースは十二分にございます。心配いただいておりますような乗降が原因で渋滞が発生することはございません。

 このバスターミナルは奈良公園の交通渋滞を緩和し、アメニティを向上させるうえで必要不可欠な施設であり、一日も早い完成にむけて取り組んでまいりたいと考えております。 

* 

 小林てるよ議員  私は新たな施設ができましたら、新たな渋滞が作り出されると思います。ターミナルは乗り降りをするところで、乗降する時間は一律ではすまない場合がでてまいります。ターミナルの入口ではバスを待つこともありえますから、県庁前周辺の、この大宮通りはたいへんな琴になるのではないか。バスは3台が並ぶと渋滞をいたします。バスの時間をコントロールするということをお考えと思いますけれども、コントロールにはミスもありますから、渋滞は少しの誤差でもおこってくるように思います。

 新しい事態を考えるあらゆる状況を想定したシュミュレーションといいますか、それをぜひ、やる必要があると思います。意見として言っておきます。

 奈良公園の価値をこわすものになるのではないかということを言いました。そもそも、名勝地に大型の建設をおこなう開発行為は認められていません。バスターミナルは名勝奈良公園の玄関口に建てられますからみとい池園地、吉城園周辺一帯のまちなみと道路一本隔てたところに大きな建物が建つということでは、3階から2階になっても、周辺の警官には調和しない、大変な違和感があります。

 計画地の計画面積は3452平米で建ぺい率は39.96%、13.36㍍になりますから、奈良市の風致地区条例の規制、第五種風致地区の基準でいきますと、15㍍以下、建ぺい率40%以下、もうめいっぱいの建物です。

 奈良公園地区整備検討委員会でも、おおむね了承いただいたと言われておりますけれども、3月の第11回奈良公園地区整備検討委員会では箱物について正当性、必要性についての説明が必要だ、このようなボリュームのある施設は原則的に建てるべきではないという意見もありました。こうした検討委員会の少なくとも複数以上の委員さんが問題ありと言われておりますので、この事業については、これまでも知事は検討委員会で十分議論をしていただいてすすめると言われてきましたから、引きつづき議論をしていただいて、急いで進めるのではなく、加えて、もっと幅広い声を聞く、議論をする機会をつくるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。おたずねします。

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 荒井正吾知事答弁  登大路ターミナルは交通渋滞発生の元になるのか、解消の元になるのかという議論が続いております。私は解消の元になると思います。1つわかりやすく言いますと、このような、奥に行き止まりに綯っております観光地におきまして車の制御というのはどのようにすべきかと言うと、奥に車をつっこませない、とりわけ大型車両は突っ込ませないというのが最大、一番のことでございます。できるだけ遠くに駐車してアクセスしてもらうというのが一番のことでございます。もっと遠くにあれば良いのですけれども、県営プール跡地に駐車場ができますと、そこでも駐車をして、ぐるっとバスで奈良公園に行かれて、若草山にもいかれるというのが理想的なやり方でございます。車を乗り込ませないということは、もし確保できるなら奈良公園はさらにすばらしい場所になる。バスとあるいは公共交通であるタクシーだけが奈良公園内を、バス、タクシー、鹿だけがウロウロしているという奈良公園であれば、もっとすばらしい公園になると思いますが、残念なことに大仏殿前まで大型バスが乗り入れられるという交通体系を作ってきましたので、それを少しでも外にだそうというのが、この登大路ターミナルの発想でございます。バス駐車場に大型バス1台入れないで止まりますと、その後、動かなくなり続いてしましますので、そのような渋滞特性がございますので、そういうことをなくそうという1つの試みでございますので、県民の皆様もぜひ、ご理解をたまわりたいと思います。交通渋滞をなくす1つの有力な試みでございます。

 もう1つは、登大路ターミナルの建物が奈良公園の価値を損なうかどうかということは、文化庁が最終的に決めることになっております。記念物課が奈良公園に住んで居られます一人ひとりの建物の形状から、すべて申請をして決めることになっております。今までの権限を集中させておられますので、ノウハウがただよっております。そこが、決められる場所でございます。そこに4月に申請して、返事はこれからでございますが、理解はしていただいているものと思います。まもなく返答がくると思います。まもなくでございます。随分、長い間地元でも議論し、文化庁とも議論を積み重ねた結果でございますので、意に沿わない文化庁の結果であっても、どうぞ、ご寛容に受託いただけますようお願い申し上げる次第でございます。いろんなことを文化庁は判断しておりますので、そのこともご報告申し上げたいと思います。

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 小林てるよ議員  バスターミナルにつきましては、名称とは異なる複合施設に変わってきているということで、景観や建物について論議がつくされているとは思えません。各資源が融合した独特の風致景観という奈良公園の価値と照らしても不十分だというふうに思っております。

 ですから、地域の文化財を包括する景観に対して俯瞰的判断で左右されると言ってないがしろにされている、一旦壊したら元に戻らない景観こそ、もっと重要な文化財だと言われたのは、西山卯三京都大学名誉教授で国の歴史的風土審議会専門委員や奈良市の国都審の委員をされた方です。このことを言われたのは、1986年に奈良県が都市計画法による用途地域指定・高度地区規制の見直しの方針を決めて、これまでの規制を緩和して、より高い建物を建てることを意図されたときです。

 歴史的にも奈良県では、このように様々な景観論争がありました。60年代、三笠温泉郷の問題、70年代には県庁の塔屋問題、ドリームランドの開発、シルク博のパビリオンなど次々とあったわけですが、私は、今回、バスターミナルの計画されている建造物はさらに検討が必要だと思いますし、必要最小限に見直すべきだと主張しておきたいと思います。 

(了)