こんにちは。奈良県議会議員団[奈良県議団]です。

[2021.3.8] -[活動日誌議会報告]

2月定例奈良県議会 今井光子議員が代表質問

 

2021年2月議会

代表質問

2021・3・4  今井光子議員の質問

*音声資料から作成したもので公式の会議録ではありません

日本共産党奈良県会議員団

 

   今井光子議員  日本共産党の今井光子です。日本共産党を代表して質問します。

  新型コロナ感染症でお亡くなりになった皆様、ご遺族の皆様への心からの哀悼と、今も闘病中の皆様にお見舞いを申し上げます。また困難な中、第一線で頑張っていただいている医療関係者や保健所など、多くのケアワークしていただいた関係者の皆様に心よりお礼と感謝を申し上げます。

  マスクを着けるのが当たり前の日常になりました。以前チェルノブイリの絵画展を見に行ったとき街を歩く人がみな防毒マスクをつけているのを見ました。こんなことになったら大変だと思いましたが今現実にそれが起きています。

  先日、奈良新聞の雑記帳に吉野町の84歳の女性の投書が掲載されていました。かつてゴルフ場建設反対の住民運動でかかわった記憶がよみがえってきました。「私は今でもただ山は青く水は清くあってほしいと願うばかり」と結ばれていました。 

  経済成長を求め続けてきた資本主義の下で格差と貧困が広がり、気候変動による地球的規模での環境破壊が進んでいます。人間による生態系の進出は熱帯雨林の破壊、地球温暖化野生生物の住む場所を奪い、動物の持っているウイルスが人間に現れてきました。

  厚生労働省によればこの30年間にエイズ、エボラ出血熱、SARS、鳥インフルエンザなど新たに30もの感染症が出現しており、その頻度が高すぎると指摘されています。

  このまま経済成長を追い求め人類破滅の道を突き進むのか、新たな社会に進むのかの分岐点です。

  コロナ危機を乗り越えて新しい社会を作りたいという願いが広がっています。

  日本共産党は希望の持てる新しい日本、格差を正し、憲法、平和を守り、自然と共生し、ジェンダー平等を実現し、個人の尊厳が守られる政治に変えるため菅政権に代わる新しい政権を作るために頑張ります。

  

1 新年度予算について

   今井光子議員  毎日、新型コロナ患者の情報が県から流され、通常とは異なる非常事態の中で新たな年度を迎えようとしています。今年度予算は感染を防ぎ県民の暮らしを応援することを第1に考えた予算であるべきと考えます。

  「奈良新『都』づくり戦略2021」と題して、新年度予算が上程されました。令和3年度の一般会計予算は前年度と比べて減となっていますが、新型コロナウイルス感染症対策を含む総額562億円の大型補正予算が同時に提案されており、令和3年度予算と合わせると過去最大規模となります。コロナ対策として、奈良県では1次補正予算で367億円、2次が252億円3次補正は今議会に371億円が上程されています。県においても感染防止対策が具体化されましたが、例えば医療機関への慰労金の支給状況は、12月15日の時点では全国ワースト1など、遅れが際立ちました。

  県民の暮らしは、消費税率が10%に上がったうえ、コロナの影響で生活困窮者が増え、税収も落ち込みました。県は、徴税の滞納徴収員を配置して車のタイヤロック、ミラーズロックなどを実施するほか、民間による督促などの法的措置もとり、徴税強化を進める方針です。生活困窮者に対しては寄り添って困難を解決すべきですが、これではあべこべです。

  歳出では、コロナ対策として保健師6人の増員や、医療・社会福祉施設従事者への社会的検査などが盛り込まれるとともに、日本共産党議員団らが求めてきた重度心身障碍者の医療療養施設を県中南東部に設置する予算が盛り込まれました。一方、国が35人学級を推進する中で教職員定数だけが107人減らされ、人件費は全体で2.6%の減となっています。

  かたや、不要不急の大型公共事業が目立ちます。「なら食と農の魅力創造国際大学校(NAFIC)セミナーハウス整備等に約15億円、約600億円の費用が見込まれる2,000メートル滑走路を含む大規模広域防災拠点整備に約5億円、平城宮跡歴史公園整備事業に14億円などの事業を温存推進し、普通建設事業債は0.8%増となっています。

  京奈和自動車道の整備にかかる直轄負担金に約60億円、リニア中央新幹線の想定ルートに関する調査・検討経費2,500万円など、高速交通に関する予算も多額が計上されています。しかし、高齢化の進展による免許返納が今後ますます増えることや、二酸化炭素排出量の削減が求められていることなどを考えると、徒歩や自転車、公共交通等による移動で日常生活や福祉サービス等にアクセスしやすいまちづくりにこそ注力するべきではないでしょうか。

  そこで、知事に伺います。コロナ禍において、生活困窮者をはじめとした県民の生活に大きな影響が出ている中、不要不急の大型公共事業は見直し、新型コロナウイルス感染症対策や県民の暮らしを最優先した予算とするべきと考えますが、いかがでしょうか。

 

  荒井正吾知事  最初のご質問は新年度予算についてでございます。昨日の米田議員のご答弁でも申し上げました、私はこれまでから県政の目指すべき姿を地域の自立を図り、暮らしやすい奈良をつくることとし、その実現のために全力で取り組んでまいりました。今回、新型コロナウイルス感染症の拡大を経験し、地域の自立につながる取組をいっそう加速しなければならないと強く決意し、奈良新「都」づくり戦略2021を取りまとめたところでございます。

  この奈良新「都」づくり戦略2021に盛り込んだ奈良県経済の好循環をうながす取り組みや未来への投資を着実に実行することにより本県の自立が図られ、その結果県民の皆様の暮らしが良くなるものと確信をしております。

  新型コロナウイルス感染症対策は極めて重要であること、また、この感染症の影響により県民の方々の社会活動や県内の経済活動に大きな影響が出ていることは十分承知をしております。令和3年度におきましても引き続き、感染者を早期発見、即時隔離し、感染されたすべての方に入院治療、宿泊療養を提供すること、重症化予防により死亡や後遺症の発生をおさえること、感染経路の類型を明確化し類型に応じた明確な注意をすることの3つの基本方針を堅持し、感染症対策に万全を期して取り組んでまいりたいと思います。

  また、この感染症で生活に大きな影響をうけた方々についてもしっかりとご支援を申し上げていきたいと思います。

  例えば、生活に困っておられる方々につきましては県社会福祉協議会での生活福祉資金の貸付や住居を失った方などへの家賃相当の給付金の給付、電話やオンラインによる相談支援を引き続き実施をいたします。また、インターネット環境が整っていないご家庭の児童生徒にモバイルルータ―を貸与し、オンライン学習を支援します。資金繰りに困っておられる企業、小規模事業者に対しましても制度融資等による支援を引き続き行いたいと思います。

  今後とも、新型コロナウイルス感染症対策に十分配慮しつつ、奈良新「都」づくり戦略2021を土台に、知恵と工夫をこらして県政各般の諸施策を積極果敢に実行してまいりたいと思っております。

 

  今井光子議員再質問  コロナ対策費のところで一次、二次補正で619億円が組まれておりますが、執行されずに3月の末になったら国に返済をするということで聞いておりますけれども、それはどれぐらいになるのか、後でも結構ですが教えていただきたいと思います。

 

  荒井正吾知事答弁  コロナ関連の予算があまるかどうかというのは、まだわかりませんので、それを予測してやっているわけではございません。できれば全部使いたいと、当然思ってこの議会に提出をさせていただいているものでございます。

  

2 2000メートル級滑走路の整備について

 

  今井光子議員  県は昨年、国への予算要望の第1に五條市に建設予定の2000m級滑走路を有する大規模広域防災拠点の整備を挙げました。知事が11月に4日間国への陳情に行かれた時に、コロナの感染がピークを迎えておりその間91人の感染者が発生していました。

  令和3年度予算案に、2000m級滑走路を有する大規模広域防災拠点に関する整備費等として4億9200万円の予算が計上されています。知事の議案提案説明にも「南海トラフ巨大地震が発生した際に県内外から大量の人的、物的支援を受け入れ迅速に被災地を支援できるよう2000m級の滑走路を備えた大規模広域防災拠点の早期整備」との提案理由が示されました。

  知事は、巨大津波が襲った東日本大震災の時に、内陸部の山形空港が大変重要な役割を果たしたことから、このような発想になったと聞きました。東日本大震災の津波の一番高いものは岩手県宮古市で海面(平均海水面)から40.5メートルの高さにまで到達していたということです。和歌山県の南紀白浜空港は海抜89メートルに設置され、内閣府では、「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」において、南紀白浜空港を被災地内の航空搬送拠点候補地やSCU(航空搬送拠点臨時医療施設)の候補地として位置付けられています。

  南紀白浜空港は、幅45メートル・長さ2000メートルの滑走路を既に備え、海抜89メートルの場所に位置しています。紀伊半島においては和歌山県の南紀白浜空港が2000メートル滑走路を既に備え、内閣府の「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」にも記載されていることから、土砂災害が心配される奈良県において2000メートル級滑走路を整備する必要性がどこにあるのか、知事に伺います。

 

  荒井正吾知事答弁  紀伊半島の大規模広域拠点についての質問がございました。南海トラフ巨大地震はいつかわからないが必ず起こるとされております災害でございます。どのように備えていけば良いのでしょうか。南海トラフ巨大地震や大和川流域での水害などの大規模災害発生時に備え、救助要員の集結や救難物資の集積・配送など優れた防災機能を有する広域防災拠点の整備が奈良県にはぜひとも必要だと考えます。

  紀伊半島の中心に位置し、津波被害がない五條市にこの防災拠点を整備することで和歌山県、三重県への支援拠点としての機能の発揮が可能だと考えております。

  現在、大規模広域防災拠点整備基本計画の検討をおこなっていますが、今年1月末には奈良県広域防災に関する懇談会を開催し、有識者のご意見をうかがいました。その中でオブザーバーとしてご参加いただいた内閣府参事官からも、防災担当でございますが、国の南海トラフ地震における具体的な応急活動に関する計画には紀伊半島をカバーする大規模な広域防災拠点がないのは事実であり、整備することを歓迎する旨の意見をいただきました。国からのお墨付きをいただきました。また、和歌山県知事から五條市の大規模広域防災拠点をぜひつくってくれ、一日でも早くつくってくれという言葉を直接うかがっております。南紀白浜空港があるではないですかと言いましたら、周辺地域が壊滅的被害をうけて孤立化する可能性があるから五條の空港はぜひとも必要だというお言葉でございました。三重県知事からも空からの救難・救助がぜひとも必要であるというご意見でありましたので、紀伊半島3県知事の要望で2000㍍級滑走路を備えた大規模広域防災拠点整備の要望書を国へ提出していただきました。

  近畿ブロック知事会議では10府県の知事様から紀伊半島大規模災害からの防災のための奈良県大規模広域防災拠点整備への支援に関する提言という文書を、奈良県の2000㍍級滑走路を備えた大規模広域防災拠点の整備については緊急防災減災事業債の対象とすることと、具体的な措置を、10名の知事連名で国へだしていただきました。関西広域連合でも同様の要望書を国へ提出されております。

  2000㍍の必要性についてでございますが、10年前の東日本大震災においては内陸部にあり、津波の被害がなかった山形空港を拠点とした大型輸送機による人員や物資の大量輸送が被災地の救援に大いに役立ったという経験がございます。また、それとともに、南海トラフ対応の防災拠点といたしまして、紀伊半島以外では2000㍍級の滑走路を備えた広域防災拠点が整備をされております。静岡空港はその1つの例でございます。四国にもございます。紀伊半島にはないということは先ほど、内閣府の防災担当参事官のお言葉の通りでございます。

  近年、南海トラフ級の巨大地震発生の切迫性が指摘される中、こうした役割を果たすことができる200㍍級滑走路を備えた大規模広域防災拠点の整備が本県及び紀伊半島エリアにおいて必要不可欠な心強い備えであると確信をしております。

 

  今井光子議員再質問  2000㍍滑走路のことです。和歌山や三重の知事さんからもぜひやってほしいというお話があったという事ですけれども、費用負担はうちもお金を出すから奈良県でやってくれというお話なのか、奈良県でやってくれたら便利があるから使わしてもらうという話なのか、そのあたりはどういうことになっているのかお尋ねをしたいと思います。それから、2000㍍の滑走路をつくろうと思いましたら、かなりの埋め立ての土が必要になります。知事はかねてから、リニアのトンネルの工事だとか京奈和自動車道の大和北道路、天辻峠とか河川の体積土砂をそれに想定していると聞いておりますけれども、今、リニアにつきましては、静岡県の大井川の水が枯れるということで静岡で計画が中断しているような状況が起こっております。さらに昨年の10月に調布市で住宅地の陥没事故がおこり、ネクスコ西日本の有識者会議が大深度地下工事の施工不備を認めたという最終報告も示されておりまして、この大深度地下というやり方に是非が問われる事態が起きているという事ではないかと思いますが、そうした中で、非常にどうなるかわからないようなところを当てにしてすすめるというのは、どんなものか。知事としてはいつぐらいにやろうと思って、考えているのかその点をお尋ねしたいと思います。

 

  荒井正吾知事答弁  2000㍍滑走路を使った災害救助のやり方ということでございます。山形空港などの例を見ますと、救援物資を現地にもっていかなくてはいけない、その仕訳場所、搬送は地上は全然ダメですので、空からしか行かない。これはほとんどがヘリコプターです。

  救難物資を現地に運ぶというのが大きなミッションです。もう1つは救助ということになります。被害者を救助する、引き上げるということになりますけれども現地では医療が壊滅すると思いますので、医療の手当は後塵へもってきて医療の手当をするという大きなミッションがあると思います。

  それにはこの五條のようなところは救助をして引き上げて、医療の手当をするというのに最適だというのが内閣府の見立てでございます。物資を運ぶのと、被災者を引き上げる、その時に和歌山や三重県ではとても対応できないよというのが両知事のご見解であろうかと思います。

  3つ目は土砂を入れる、リニアの土はでるのかということでございますが、静岡県のケース、あるいはあれは道路ですけど陥没したというので、こういうところはよく把握されていますが、ご心配のとおりかどうかはわかりません。

  私は、ご心配の程ではないと思っております。いろんな経験上から、これは心配だぞと言われても、私は土が止まるとか、水が流れるよりも南海トラフ(巨大地震)の方が心配です。これが確実に起こるというのがすごい。それを心配しないで、土が取れないのではないかと心配するよりも南海トラフの方がはるかに心配をしております。

 

  今井光子議員  私がお伺いしたかったのは、和歌山や三重の知事さんがぜひ奈良県でと言われているようですけれども、費用の負担も出すから奈良県でぜひやってくれと結っているのかどうか、そのあたりをお尋ねしたいと思います。

 

  荒井正吾知事答弁  大規模広域防災拠点の負担ということですが、和歌山県、三重県の個別負担ではなしに国が負担するという思想だと私は理解しています。全体で7割も国が負担するのですから、こんな効率の負担金ないです。100%の起債適用、7割交付税措置という超高率です。このような国の負担はない。それを要求しに行って、総務大臣が応援するよとおっしゃっていただいた、これはめったにないんです。

  それは防災という観点で国が大きな役割を果たすからということでありますので、私は奈良がその役割を地元としての負担をしても3割ですから、これは十分だと思います。和歌山、三重とかそのほかどこでも防災拠点はいけますから。大阪湾にもいけますし、大和川にも日本海にも行けます。そのような防災機能の基本的なことは7割を国が負担してやりますとおっしゃっていますので、こんな事例はめったにございません。

 

  今井光子議員  7割ということは、600億円ということですので180億円が奈良県の持ち出しということになります。それを和歌山県や三重県がある程度出してくれるという話になっているのかどうかです。そこを聞きたいです。

 

  荒井正吾知事答弁  県の負担は、実は第二阪奈道路をネクスコに打った時に280億円が帰ってきています。これは、ここに使えといって国が返してくれたわけではないんですけれども、国が返してくれた第二阪奈の280億円はここに使おうかなと、内々に思っています。

  三重県からぜひ取りたいという先生の思いは三重県に一度言ってみますけれども、理屈がたてばということにやはりなると思います。理屈次第だと思います。国が三重県からももらうべきとおっしゃれば、そのようになると思いますが、今井先生のご意見だから、このケースははいというわけにはいかないというふうに思っています。

 

  今井光子議員  知事は南海トラフが一番、大変なことになるといわれましたが、そしたら、この2000㍍滑走路はいつぐらいに実現できると思っておられるのか。そこをお尋ねします。

 

  荒井正吾知事答弁  段階的に作りたいと思います。1期、2期、3期でまず、プラットホーム、大地ができましたら防災拠点としてはある程度できます。早くそれだけでもしたいと思っています。次にはそこに600㍍の滑走路をつくると、また機能が向上いたします。谷を埋めるのは土がたくさん要りますので少し後になります。2000㍍あれがグレードがかなり上がります。3期ですすめますが、南海トラフ地震まってくれ、1期でも早く作っておきたいからと、こんな願いでおります。1期でもできると随分違うから。これがあると救われる人は確実に増えますからと、私は経験上、思っています。3期まであればものすごく増える、ただ3期までまってくれるかどうか、南海トラフに聞かないとわかりませんが、とにかくできるまでまってほしいなという気持ちで早く造りたい。

  しかし、2000㍍がいつできるか、次のご質問はそれまで役に立たないのではとおっしゃるのではないかと思いますけど、そうではなしに1期でも役に立ちますよということを申し上げたところでございます。

 

  今井光子議員  何度も言ってきていますが、奈良県の消防学校が実際に火をつかった火災の訓練もできないような状況で一部補修する予算を今回だされていますけれども、まず、このことを早くしてほしいということを私はお願いをして頂きたいと思います。いつになるかわからない、土もどこから調達できるかわからないような計画で、すすんでいくというのは、もっと先にしないといけないことがたくさんあるということを申し上げておきたいと思います。

 

3(1) PCR検査の拡充について

 

  今井光子議員  緊急事態宣言が、先月末、関西など6府県で解除されました。新型コロナの変異株など再拡大を防ぐ戦略は「検査、医療、補償」の3つに尽来ます。

  コロナの検査には、発症した人が医師の指示で受ける治療目的の検査、感染者の濃厚接触者に保健所が指示して受けさせる行政検査、個人や企業が自己の都合で受ける自主検査の3つがあり、当初は検査機関も少なく37.5度以上が4日間続くなどの厳しい条件を付けて、医師が必要と判断しても検査をしてもらえないという苦情がたくさん寄せられました。患者が発生したあとの後追い検査のため、感染者が増えると検査が増え減れば検査も減るということが繰り返されています。

  ノーベル賞受賞者の山中、本条、大隅、大村教授の4名は1月8日、医療従事者への支援やPCR検査の拡充などを政府に求める声明を発表しました。声明は、過去1年にわたるコロナ感染症の拡大がいまだに収束せず、緊急事態宣言が出された現状を「憂慮」するとして、5つの方針を政府に要望し、実行を求めています。

 (1)医療機関と医療従事者への支援を拡充し、医療崩壊を防ぐ。

 (2)PCR検査能力の大幅な拡充と無症状感染者の隔離を強化する。

 (3)ワクチンや治療薬の審査および承認は、独立性と透明性を担保しつつ迅速に行う。

 (4)今後の新たな感染症発生の可能性を考え、ワクチンや治療薬等の開発原理を生み出す生命科学、およびその社会実装に不可欠な産学連携の支援を強化する。

 (5)科学者の勧告を政策に反映できる長期的展望に立った制度を確立する。

  だから、もっとPCR検査を増やし、無症状感染者を見つけ、保護し、どこかでちょっと休んでもらう。これが、この議論の中で一番大事なところだと思っていますとのことです。

  この声明では、コロナ対策を科学に基づいて終息させるために、PCR検査の重要性が指摘されています。

  奈良県では新型コロナが発生した1月28日から5月27日までの第1波で92名の感染者、7月4日から10月25日までの第2波で533名、11月26日からの第3波で2706名と感染者数が2桁、3桁、4桁と拡大しています。緊急事態宣言が11都府県に出てからは少し減少していますが、こうした時こそPCR等検査を増やして、無症状感染者を早期に見つけ、感染を拡大させない取組が重要です。

  そのためには病院や施設の新規入所者にも検査の網を広げ、定期的に検査を行うことが重要と考えます。和歌山県では、新型コロナウイルスのクラスターが医療機関や介護施設で相次ぐことを受け、病院の新規入院や施設の新規入所者全員に抗原検査の実施を決め、抗原検査キット費用約8800万円を2020年一般会計補正予算に計上しています。

  そこで知事に伺います。新型コロナウイルス感染症のクラスター発生を防ぐためには、病院への入院時や福祉施設への入所時にPCR検査を必ず実施するなど、検査対象の拡充が必要と考えますが、このことについての所見を伺います。

 

  荒井正吾知事答弁  新型コロナウイルス感染症、PCR検査についてのご質問でございます。

  本県では新型コロナウイルス感染症とたたかう基本方針の第一に感染者を早期発見、早期隔離し、感染されたすべての方に入院治療、宿泊療養を提供することを掲げてまいりました。これまで自宅待機ゼロを維持している数少ない県でございます。医療機関の頑張りのおかげかと思っております。

  この方針のもと、感染者を早期発見するためには本県では全国に先駆け、また国の方針よりも先駆けて、昨年6月からPCR検査の目的を重症化予防から感染拡大防止に切り替えました。幅広い検査を実施したわけでございます。具体的には委員もご存知のことかと思いますが、知ってご質問をされているのかと思いますけれども、繰り返しますが6月から感染拡大防止のPCR検査を拡充してきております。具体には発熱や味覚・臭覚障害や倦怠感、息苦しさなどの症状の有無にかかわらず、また、入院や福祉施設への入所予定の有無にかかわらず、感染が疑われる方についてはすべて検査対象としています。

  当然、無症状の方も含まれます。また、医療機関や福祉施設で感染者が一人でも発生した時には、接触者だけにとどまらず患者、利用者、従事者、出入りされる業者などすべての関係者に速やかにPCR検査をおこない、感染拡大防止に努めてきております。このような措置のおかげで病院のクラスターが発生してこなかったのかなと思っております。

  一方、県内で発生した病院や福祉施設でのクラスター事案では入院、入所時の持ち込みではなく、その多くは職員が感染源となっております。そのため県では人口や感染者数が多く、福祉施設や医療機関でクラスターが発生した市町村に所在する入所系福祉施設及び病院や有床診療所の職員を対象にいっせい検査を実施しております。

  今後とも、疑いのある方はすべて検査に繋げるという方針にのっとり、早期発見感染拡大防止に努めていきたいと考えております。繰り返しますが、この方針は昨年6月から実施しているものでございますので、ご承知おきいただきたいと思います。

 

  今井光子議員  PCR検査ですけれども、検査の拡大をしていただいているということですが、クラスターのあるところとかを実際に検査をしていただいておりますけれども、もっとこれを広げないといけないのではないかと思っております。新型コロナの怖いところは無症状の人でも感染をするということ。神戸市は、今年になってからの感染者のうち、どのような変異株をもっているかという調査をしましたら、一番新しいところで2月12日から18日までの数字ですけれども、変異株の割合が検査数の50%を超えているというのが明らかになりました。36人のうち31人が従来の変異株で、5人は新たな変異株だということで、変異株が広がっているという事がわかっております。このことから考えますと、特に高齢者のところでは感染をしたら重症化する、肺炎をおこせば死につながるとかいうような状況になっておりますので、医療や福祉の施設に入居する人は全員受けられるようにするというような対応が必要ではないかと思いますが、その点で知事のお考えを伺いたいと思います。

 

  荒井正吾知事答弁  東京都はなぜ感染がおさまらないのか、PCR検査が少ないからか。どうでしょうか。私はPCR検査の高と直接関係なく、自宅療養があるからだと思います。自宅療養があるということは了されていないのです。ある程度出歩いてはいないかもしれませんが、ウロウロされているように思います。それは疫学調査というような感染経路を追う保健所機能が十分じゃないからだと私は思っています。

  PCR検査の量じゃない。だれがうつっているのか、うつったらすぐに隔離しよう。隔離が十分じゃないというのが大都市、特に東京や東京近辺で抑えられない理由だと思います。今となっては私はこういう、はっきりと言えるような頭になってきました。奈良県は感染経路を徹底的に調べてきました。その結果、PCR検査が必要なところはもっと拡大してしましょうね、みんなしましょうねじゃなしに、必要なところはしてくださいと、お医者さんがストップかけることはいけませんよというやり方でやってきました。これが今おさまる大きな要因になっていると、私ははっきりと申し上げることができると思います。PCR検査ではなしに、ちゃんと検査しても隔離できない、病院に入院できないほうがおかしかったと、はっきり言えると思います。

 

  今井光子議員  クラスター発生の多くが病院や社会福祉施設で発生しております。そういうところに、新たに入院や入所したとき、やはり事前にきちっと検査をしてから受け入れるというやり方をしないと、中でまた感染が広がるという恐れがありますので、これについてはぜひ、実施していただきたいと思います。

  奈良県での変異株の検査はどんな状況になっているのか聞きたいと思います。

 

  荒井正吾知事答弁  あまりよく知らない、言い方が変ですけれども、変異株というのはよくわからないんです。心配であれば私、言いますけれど、心配かどうかもわからないので同調して申し上げることができないとご理解ください。変異株というのは奈良であまりまだ、見つかっておりませんので。心配ではございますが、現実的な心配ではないように思いますとお答えしておきたいと思います。

 

  今井光子議員  国のほうでも各地域において変異株の調査をおこなっていますが、特徴的なことがありましたら、教えていただきたいと思って質問をいたしました。後でお聞かせいただきたいと思います。

 

 

3(2) 医療機関の支援について

 

  今井光子議員  緊急事態宣言が2度も発出されたのは、医療崩壊の危機が切迫したためです。奈良県ではコロナ病床数を467床と発表し、十分足りているかのような知事の記者会見の直後、共産党控室には「現場がどんな状況か実態を知らないのか。」と怒りの電話がかかってきました。実態が伴わないとの声が殺到し372床と下方修正されました。

  医療機関での感染を恐れて、受診控えが起き、患者そのものが減少、手術や検査の繰り延べ、発熱外来などの設備投資、マスク・防護衣などの消耗品使用数の増加による経費の増大、病床稼働率の悪化、発熱患者対応の長時間化で時間当たり診療数の悪化・人件費の増大、コロナが発生した時の患者受け入れ中止などにより、経営状況が逼迫しています。

  国は、コロナ患者を受け入れていない病院を含めて、3.2兆円の支援をしているとされています。さらに第3次補正では1.2兆円が追加されています、しかしその交付実績は、1月15日時点で、全国で1.1兆円に過ぎません。奈良県はとりわけ低く、包括支援金の交付率は1月31日の厚労省の数値では34.5%と全国最下位です。コロナ患者を受け入れていない病院に出るのは感染防止設備への補助と医療従事者の慰労金だけです。病院経営そのものを支援するものではありません。

  コロナ対応をしている病院でもコロナ病床分だけとか、コロナ対応のため新規の募集した職員だけなど、限られた支援に過ぎません。このままでは大半の交付金を国に返上することになりかねません。

  医療スタッフの中には、家族の感染を恐れて宿泊施設で過ごしているため孤独を感じたり、マスクや防護着などを身に着けて診療しているための疲労感の増大、コロナ病棟に入れば簡単にトイレにも行けないため、おむつを付けて仕事をされている人もいると聞きました。

  また家族との面会ができないため、患者の不安と向き合うといったどうしようもないストレスなど大変です。その上、この冬のボ-ナスがカットされたところが4割もあり、モチベーション低下で仕事を離れる人も増えています。慰労金支給では600人もの人が個人で申請されていると聞きました。医療機関でまとめて申請しますので、6月までは働いていたがその後やめられたのではないかと推測します。

  今後ワクチン接種も始まってくる中で、医療機関を守ることは行政の責務です。すべての医療機関を対象にした支援が今こそ必要です。

  そこで知事に伺います。新型コロナウイルス感染症により逼迫している医療機関を守るため、全ての医療機関を対象にした補助金等による支援を、国の責任で早急に行うよう求めるべきと考えますがいかがでしょうか。

  ワクチンの接種についてはすでにほかの議員の質問も出ておりますので割愛させていただきます。

 

  荒井正吾知事答弁  感染症対策で逼迫している医療機関を守るために補助金等による支援を、国に求めてはどうかというご質問でございます。

  コロナ対策に従事していただいております医療機関への支援の方法として2つの分野があると思います。1つは感染防止対策をおこなっていただく方の費用の補填でございます。2つは収入の減とか得れるべき利益がない場合の補填ということであります。新型コロナウイルス感染症にかかる医療機関への経営支援でございますが、感染防止対策などに費やされた費用の増加に対する支援をしております。具体的には国において措置された補正予算を最大限に活用して、コロナ感染症に対応された病院に院内感染防止対策やコロナ専用病床の確保への補助、人工呼吸器をはじめとした医療機器の整備に対する補助などをおこなってきているところでございます。

  一方で医療機関の収入減や得られるべき利益を県や国から補助金で補填することは実務上、難しい面がございます。議員お述べのすべての医療機関を対象とした補助金による赤字補填的な支援という乱暴な方法ではなく、医療機関の収入の根幹となる診療報酬により対応することが適切だと、私は考えております。

  こうした考えのもと、昨年8月、新型コロナウイルス感染症により収入が減少するなどの影響をうけた県内医療機関の経営を支援するため診療報酬単価の引き上げを求める意見を厚生労働大臣に提出しております。現時点において追加の財政支援策を求めていく考えはございません。なお、国におきましては奈良県の診療報酬単価引き上げ要請の影響をうけたものだと聞いておりますが、昨年12月に中央社会保障医療協議会に置きまして、新型コロナへの診療報酬での対応について検討がおこなわれました。

  その結果、特に受診控えによる影響が大きい6歳未満の乳幼児への外来診療に対し、昨年12月15日から診療報酬の特例措置が認められることになりました。また本年4月からは、すべての患者の診療を対象として感染防止に十分配慮して、診療をおこなった場合に所定の加算を算定できる診療報酬の特例措置が適用されることになりました。これは直接、奈良県の働きかけの結果というわけにはいきませんが、影響をあたえたというふうに聞いております。また、医療機関への支援につきましては、経営面だけではなく、新型コロナウイルス感染症と最前線でたたかう医療従事者の方々への勤務環境を良好なものとするための支援が必要だと考えます。そのため国が措置いたしました慰労金支給に加えまして、県単独に設置いたしました奈良県新型コロナルス感染症対策基金への寄付を募り、激励金として支給するほか、宿泊費や特殊勤務手当に係る支援をおこなっているところでございます。

 

  今井光子議員  奈良県の支給率が低いというので、頑張ってくれたということがありますので、厚生労働省の一番新しい数字で、新型コロナウイルス感染症の包括支援交付金の奈良県の交付実績(支給率)は44.6%で全国の47位。一番少ないというのが明らかになっております。今、大変な状況で医療機関は頑張っていますので、それはすぐに実施していただきたいということをお願いしておきます。

 

  荒井正吾知事答弁  答えとかないといけません。誤解を解いておかないといけないと思いますので。給付率が一番低いということで終わってしまうと県民の方は誤解されますので、ぜひ答えさしていただきたい。(時間は)切れておりますが。給付率が低いという事は、実は、いただいた資金が多かったということです。500床を確保するからと言って交付金をいただいたのですが、442億円いただきました。

  今、交付実績139億円です。これで給付率が低いとおっしゃっていますが、正直に言いますと500床をめどに442億円をいただいた、ちょっと多すぎた。これは給付しないと返さないといけないお金になると思います。お調べになるのはお得意ですが、442億円もらって139億円、交付率が一番低いよ、それだけでは誤解を与えますねということで、ぜひとも県民の皆様に聞いていただきたい。というのは交付の金額ベースでは全国27番目です。ラストではありません。人口一人当たりの交付額は全国で21番目です。

  これも知っておられて言われないだけかもしれませんけれども、47位とだけ言われると名誉にかかわります。ご理解いただきたいと思います。県民の皆様にもご理解いただきたいと思います。

 

 

4 西和医療センターのあり方検討について

 

  今井光子議員  西和医療センターは生駒郡や北葛城郡の住民にとってかけがえのない存在であり、年間で●人が利用しています。このほどあり方の検討経費が新年度予算に上程されています。安心して出産できる病院にとバースセンターも作られ喜んでいた矢先に、出産は総合医療センターに変更され、残念ながら出産ができなくなりました。駐車場が狭く、停めるのに時間がかかり、予約時間に間に合わないなどの声も寄せられました。

  西和医療センターの移転先の候補地は、王寺駅の鉄道の使わない線路の部分ということです。確かに交通の利便性からすれば大変便利な場所ですが、一方、王寺駅はご存知のように昭和57年大和川大水害が起き一面水につかった場所になっています。近年過去に例のない災害や豪雨の状況を考えた時、西和医療センターは災害時の拠点病院でもあり立地場所としてはふさわしくないと考えます。建物の構造上1階を駐車場にして上に病院を作ることは可能だと思いますが、災害が起きたときに搬送も困難であれば、せっかくの拠点病院が機能を果たせなくなります。現在は高台にあるためそのような心配はありません。三郷町からは地元の病院を残してほしいとの意見も出ております。

  そこで医療政策局長に伺います。西和医療センターのあり方検討にあたり、基本構想を策定する際は地元の関係者の意見を良く聞く必要があると思いますが、今後どのように検討を進めていかれるのでしょうか。

 

  鶴田医療政策局長答弁  奈良県西和医療センターは西和地域における中核病院として地域の医療をささえる重要な役割を果たしていますが、施設の老朽化や耐震化の課題があることから県立病院気候第二期中期目標長期計画において、今後のありかたを検討することとしております。

  これまで西和地域の医療需要分析や西和医療センターが果たすべき診療機能、病床数などの調査分析をおこない、将来担うべき医療機能や役割を県と医療機構との間で検討をはじめています。

  先ほど議員より現地建替えについて検討しているのかという質問を頂いておりますけれども、現地建替えも移転建替えもいま、どちらとも検討しております。また、昨年8月には知事と西和7町の町長による西和地域におけるまちづくりの協議会を立ち上げ、西和医療センターの再整備を1つのテーマといたしました。これまで2回開催した協議の場では、地域包括ケアシステムについて協議をしたほか、西和地域の救急医療や入院患者への医療提供の現状、新規入院患者の地域分布や西和医療センターの「めざす姿」などについて県から説明をさせていただきました。この「めざす姿」では救急医療体制の強化や新型コロナウイルスなど感染症への対応、災害に強い病院としての機能、地域における包括ケアの充実支援などを掲げています。

  今後、この協議の場などでの意見交換などを経て、来年度に新西和医療センター基本構想としてとりまとめていきたいと考えております。西和地域の皆様が将来にわたって適切な医療が受けられるよう、引き続き県と病院気候が連携し、地元市町村や関係機関のご意見をいただきながら、西和医療センターのあり方検討を着実に進めてまいります。

 

 

5 外国人労働者対策について

 

  今井光子議員  1月25日、奈良県議会日本ベトナム議員連盟で、福島大学の坂本恵先生の「外国人労働者と共に作る奈良の未来」をテーマにオンライン学習会を開きました。

  令和2年10月奈良労働局の調査によれば、奈良県では外国人労働者が約6000人、そのうち技能実習生が43.8%、国別ではベトナム40.5%・中国21%・フィリピン9.3%と、ベトナムが一番多くなっています。受け入れている事業所は1248事業所。前年から146か所・13.2%増加しています。

  人口減少の中、外国人労働者の受け入れが期待されるとともに、様々な課題も生まれています。

  技能実習の場合、日本に来るため、平均すると100万円程の借金をしており、その利息は5年で20万から30万円もかかるそうです。言葉の壁や、仲介料などを天引きされるなどの問題が他県の調査で明らかになっています。改善するには、国の法律を改正する必要があること。地域で協議会などを作り関係者が協議の場を設けることが大切と、先生のアドバイスもいただきました。

  奈良県は近隣の府県に比べると技能実習生はまだ少なく、今なら一人一人に目が届きます。きちんとした受け入れ態勢を整えることで、外国人労働者から選ばれる県になることが必要とのことです。そこで、産業・観光・雇用振興部長に伺います。外国人労働者の受け入れについて、県はどのような方針で取り組まれるのでしょうか。

 

  谷垣産業観光雇用振興部長答弁  奈良県の1月の就業地別有効求人倍率が1.19倍でありますが、奈良労働局から聞き取ったところによりますと、特に社会福祉関連分野、あるいは建設業において求人数と求職者数のギャップが大きく、人で不足が深刻な状況でございます。また、少子化等により中長期的には様々な分野で労働力が不足するものと認識しており、外国人労働者の受け入れ拡大にむけた環境整備に取り組むことが必要であると考えてございます。

  このため県は奈良労働局と奈良県雇用対策協定を平成25年度に締結し、県内企業に対しまして、奈良労働局では適切な雇用管理がおこなわれるよう指導監督を行い、また県では外国人労働者の受け入れが拡大するよう啓発や相談をおこなっております。具体的には、今年度は企業向けに外国人留学生等の採用方法などを学んでいただくためのセミナーを開催し、39社に参加いただきました。

  また、外国人留学生等を対象とした県内企業説明会を実施し、県内企業18社、留学生39名に参加をいただいたところでございます。新年度は外国人雇用専門相談員を新たに配置し、採用や雇用管理に関する県内企業からの相談に積極的に応じるとともに外国人労働者の活用に前向きな県内企業の取組の掘り起こしや合同企業説明会などをおこなうことにより、外国人労働者の受け入れ環境の整備をさらにすすめていきたいと考えております。

  今後ともより多くの外国人労働者が良好な就労環境で働いていただき、充実した生活をおくっていただけるよう奈良労働局とも連携し、外国人労働者の就労促進に取り組んでまいります。

 

 

6 少人数学級について

 

  今井光子議員  コロナ禍の下での分散登校により、少人数学級の良さが再確認されました。少人数学級を求める声や運動は以前からありました。奈良県議会においても平成26年に少人数学級の推進などの定数改善と義務教育費国庫負担制度2分の1復元を求める意見書が決議され、国にも求めてきたところです。少人数学級を求める声はコロナ禍の下で一気に広がり、奈良県でも学習会やシンポジウムなどが取り組まれてきました。

  国は「義務標準法」(公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律)を改正し、25年までの5年間で2年生から6年生を35人学級へ引き下げ、必要な教職員定数を措置することとしています。国が学級規模の引き下げを示したのは40年ぶりのことで、大きな前進ではありますが、中学・高校を含めた30人学級が望まれるところです。

  山形県では平成14年から少人数学級編成が始まりました。山形県のまとめでは、少人数学級の成果として、学力の向上、不登校の減少、欠席率の低下が挙げられています、この効果は、制度が変わったことにより教員の意識が変化し、授業が改善されたために生まれたとしています。教室にゆとりが生まれ、心にゆとりができ、担任業務にゆとりができたとされています。国の調査では、15道府県が少人数学級の独自施策を拡充する方向です。小・中学校の全学年で条件なしで少人数学級を実施している県は、岩手、秋田、山形、福島、栃木、群馬、長野、鳥取、島根、山口、徳島です。

 

  奈良県ではすでに小学校では35人以下学級は96.7%の学級で実現しており、全ての学級を35人以下学級にするには、あと79人、小学3年生だけなら15人で実現できます。

  そこで教育長に伺います。国が少人数学級を進める中、県では教職員定数全体を107名、そのうち小・中学校の定数については63名削減することとしていますが、定数を削減するのではなく、現在小学校1・2年生で実現している少人数学級を、さらに県独自で3年生以上に拡大するなどの対応を取るべきと考えますがいかがでしょうか。

 

  吉田教育長答弁  現在、少人数学級編成につきましては公立義務教育諸学校については学校教職員定数標準に関する法律、いわゆる義務標準法と呼んでおりますけれども、これに基づいて、小学校1年生では35人以下学級を編成しております。また小学校2年生は、県で国の加配定数を活用いたしまして35人以下学級を実現いたしております。さらに、3年生以上につきましては国の加配定数を活用して、市町村が地域や学校の実情に応じて柔軟に35人以下学級の編成をおこなっております。例えば、小学校の5年生で、非常に厳しいので割りたいという時には、それを認めているということでございます。

  この柔軟な対応は県教委が大切にしているところでございまして、今年度は少人数学級編成のために加配定数などを活用して小中学校125校で174名の加配をいたしております。令和3年度の教職員定数でございますが、公立小中学校で63名の減となっておりますけれども、そのうち31名は昨年6月の補正予算で措置をいたしました新型コロナウイルス感染症対応の加配分で、これは国も令和2年度限りの単年度措置となっております。残りの32名に関しましては児童生徒数の減少による自然減でございまして、義務標準法に基づく適正な数であると県教委では考えております。

  国ではすでに小学校全学年を今後5年間で35人以下学級とする方針をだしており、県教育委員会といたしましては、これまで同様に少人数学級編成などの指導体制は義務標準法によって算定される定数に基づき、整えていくべきであると、このように考えております。

 

 

7 高校部活動の在り方について

 

  今井光子議員  奈良県は2030年に県内で2回目となる国民体育大会に名乗りを上げ、内内定を受けたと聞いています。県内のスポーツ施設はほとんど改修もないまま老朽化が進みこれを機会に身の丈に合った安心して利用できる施設に変えていくことが求められていると思いますが、施設整備と共に指導者や選手育成も重要です。

  山辺高校サッカー部の問題は、スポーツとは、選手の育成とは、教育とはどうあるべきかを考えるきっかけになると思います。

  平成29年、地域活性化を図る目的で、廃校予定だった奈良市並松小学校跡地をサッカーアカデミーの寮として活用するプランが、地元自治会から奈良市に提案されました。

  公立高校の部活動が、日々の練習から寮生活までを管理する民間企業と連携する全国初の試みが始まりました。受験生の定員割れが続いていた山辺高校はそれを受け入れ、奈良市、学校、事業者、自治会の4者で協定が交わされました。高校ではそれまで活動していなかったサッカー部を立ち上げ、顧問教員を配置し、外部指導員としてアカデミーの講師を招いてスタートしたものです。

  山辺高校のサッカー部は全寮制で指導を行っているクラブチームと連携して部活動を行っているという珍しい形態です。寮は奈良市の小学校の跡地を利用し、寮の管理とサッカーの指導は奈良市のボスコビラ・サッカーアカデミーが行っています。アカデミーに入るには入校手続金・活動費として84万円、選考試験料など合わせると90万円と著しく高額な費用が発生します。一方、山辺高校の生徒がサッカー部に入るには、アカデミーに入ることが条件とされており、公立高校のクラブ活動の在り方としては問題です。

  最初は20名が入学したにもかかわらず、1年間で10名が退部するなどの事態が発生しました。

  スポーツ庁が平成30年3月に示した、運動部活動についてのガイドラインのQ&Aでは、週1から2日の休息日の必要性や、目先のいわゆる勝利至上主義で大会に勝つことのみを重視した練習は生徒の心身の発達を妨げる問題があると言うことが指摘されています。

  昨年は寮内の飲酒問題も発覚し、全国大会の出場について取りやめるべきとの意見が出ましたが、学校・県教育委員会は出場することを決定しました。

  山辺高校サッカー部の運営について、県立高校の部活動の在り方としてはふさわしくないと思いますが、どのように改善を図るのか教育長に伺います。

 

  吉田教育長答弁  山辺高校サッカー部の運営についてどのように改善を図るのかとのお尋ねでございます。高校生のスポーツ活動はこれまでは学校教育の一環として学校を中心に推進をされてまいりました。しかし、生徒のニーズの多様性、専門的な指導ができる教員の減少、また、教員の長時間労働など課題も多く、これからは学校中心型から学校地域両方型に移行する必要があり、総合型地域スポーツクラブ等との連携なども一つの方策であると考えております。

  山辺高校には馬術部がございます。馬術部の部員は従前から近隣の乗馬クラブの会員となりまして、指導をうけて活動いたしております。このように山辺高校には学校外の活動を受け入れて部活動として認める土壌がございます。平成29年度には地域の活性化をめざしてボスコビラ・サッカーアカデミーが設立され、親権者同意のもと、このアカデミーでサッカーをするために入校する生徒たちが山辺高校のサッカー部としても活動したいと希望をしていました。そこで山辺高校はボスコビラアカデミーと基本合意書を締結し、クラブチームと連携した新たな活動を開始したところでございます。

  なお、本年1月には県教育委員会が入って基本合意書を見直し、生徒指導の在り方について連携の強化を図ったところでございます。また、来年度からはアカデミーの監督を部活動指導員として任用し、サッカー部としての活動をより充実させてまいりたいと考えております。

 

 

【要望】核兵器禁止条約の発効を契機とした被爆者の体験等の継承について

 

  今井光子議員  広島長崎の原爆投下から75年。ヒバクシャの活動や核兵器廃絶運動が実りついに1月22日核兵器禁止条約が発効しました。条約は、開発・製造・使用・実験・備蓄・移譲・威嚇を禁止し世界で初めて「核兵器は違法」「悪」となったのです。

  私は1月22日正午が来るのを前日からうれしくて眠れなく遠足に行く前の子どものようなワクワク感で迎えました。22日正午の鐘をきき,馬見丘陵公園のカリヨンの丘の上で友人たちと原爆許すまじを歌いました。折り鶴の歌詞「生きていてよかったそれを感じたくて、広島の街からここまで歩いてきた。」を歌いながら胸が熱くなりました。24日には核兵器禁止条約発効を祝い日本政府に批准を求める自動車パレードが奈良市内で行われました。

  その後も世界は大きく変化しています。禁止条約が国連で採択された2017年後半以降、核兵器関連企業に投資・融資していた約300の金融機関の内100以上が投資や融資を取りやめました。日本でも共同通信によれば16銀行が核兵器関連企業への投資や融資を自制する指針を持っており、金融機関では核兵器にかかわることはリスクという認識が生まれています。批准国もフィリピン,コモロが増え54か国になりました。大国が世界のルールを決める時代は終わりました。本当の安全保障はすべての国が対等に話し合い、自由に意見を交わしてこそ築くことができるはずです。核兵器禁止条約発効はすべての人が対等平等に生きていく新たなスタートです。唯一の戦争被爆国である日本政府は核兵器廃絶の先頭に立たねばなりません。国内の世論調査でも7割が政府の批准を求めています。

  被爆者が高齢になる中で体験談を聞き取り後世に残す活動が広がっています。100人いれば100通りの体験があります。これまで多くの被爆者の方々が、ご自身の体験を勇気を出して伝えることで、核兵器の非人道性を世界に知らせる大きな役割を果たしてきました。

  ヒバクシャの平均年齢は83.31歳です。次の世代に知見を伝えるには、もう時間がありません。

  奈良県では被爆者手帳を持っている方が約500人おられると聞いております。核兵器禁止条約が発効された今だからこそ言いたいこと、残しておきたいことがあるのではないでしょうか。二度と同じ過ちを繰り返してはならないというその声をくみ取り、後世に伝えるためにも、奈良県として被爆者の体験などを継承していくための調査を実施されることを強く要望しておきます。

 

(了)