こんにちは。奈良県議会議員団[奈良県議団]です。

[2012.1.26] -[クローズアップ活動日誌]

大滝ダム試験湛水304㍍、明日にも

 大滝ダム試験湛水の水位301㍍に

「白屋地すべり(03年)」の水位304・8m目前です

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 大滝ダム試験湛水が、住民の不安の声を横目に、計画通りすすんでいます。1月24日現在、水位が301..46㍍(標高)になりました。2003年3月、試験湛水中に白屋地区で地すべり(=実は深層崩壊の初期の現れだったことがわかっています。国、県は「クラックの発生」「亀裂現象」と今でも呼んでいます)が発生し、試験湛水が停止しましたが、そのときの水位304.8㍍が目前。27日、28日にも到達する見込みです。

 ダムサイトでは国交省職員が連日、見回りを続けています。奈良県は、国に対して、安全のための注意を怠らないよう強く要請して、見守っているとしています。(*後述:11月定例県議会への奈良県の説明)

 住民は、国道を走るたびに、徐々に水位があがっていくのを見ながらも、不安の想いはぬぐえないまま、見守っている状況です。

 共産党県議団は、11月議会で、9月の台風による豪雨災害で、大滝ダムサイトの迫地区で、これまで崩落を予想していなかった山が大規模崩落をおこし、ダムに土砂や木々が流れ込んだことも未解明なまま、試験湛水を始めていいのかとせまり、ダム湖サイトの全面的な再点検の実施を求めました。また、ダム供用開始を急ぐのではなく、東海・東南海・南海の連続地震の発生可能性の増大や、繰り返す山腹崩壊など台風等による豪雨災害のことを考え、引き続きこの地で安心して暮らせるまちづくりにこそ力をそそぐべきと提言しました。

 

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*11月県議会に理事者から大滝ダム試験湛水についての報告がなされましたが、うち、総務警察委員会に地域振興部長がおこなった報告を紹介します。

 

大滝ダムの試験湛水の開始について

(11・12・12 11月定例県議会・総務警察委員会)

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 地域振興部長の報告  ご心配をおかけしました。大滝ダムは平成15年の試験湛水中に白屋地区で亀裂現象がおこりました。国におきましては、貯水池斜面の地すべり対策、これに努力を傾注していただきました。
 おかげさまをもちまして、白屋地区(川上村)につきましては平成21年2月、また迫地区(同)は今年の3月に工事が完了いたしました。残る大滝地区(同)につきましても、押さえ盛土工および鋼管杭工が完了いたしました。

 (国からは)9月初旬ぐらいには試験湛水を実施したいという申し出がありましたけれども、不幸なことに9月に台風12号が発生いたしました。それを受けまして、川上村迫地区で大規模な斜面崩壊が発生しました。
 それで、県から国に対しまして、ダムの十分な安定をもう一度やってほしいということを要請しましたところ、かねてから実施していました斜面の巡視や挙動観測器による地すべりの監視体制に加えて、臨時点検の実施、専門家による調査の実施、観測機器の追加設置など3つの視点から、さらなる緊急の安全点検を実施していただきました。

 このように台風12号豪雨をうけ、安全点検を実施し、安全性を確認したうえで試験湛水に際しては安全対策に充分配慮して実施する旨の文書で回答をいただきました。
 これをうけて、12月15日から試験湛水に着手することとされたところでございます。
 国によりますと試験湛水は12月15日を開始日といたしまして、過去に経験し、安全を確認している水位の標高280㍍の水位から開始して、安全を確認しながら細心の注意を払い、1日1㍍の水位上昇を限度にサーチャージ水位、標高323㍍(ダムの高さから3㍍下)まで高め、それを1日1㍍を限度に最低水位の標高271㍍まで落とし、完了となります。
 気候条件等の影響はありますが、順調にすすめば6月下旬に試験湛水は完了となる予定とのことでございます。
 やっと、新しく試験湛水が開始できたと聞いております。

 この大滝ダムが完成すれば安定的な水源が確保できて、県民が年間必要とする水を確保できると聞き及んでおります。
 県としましては、水は確保できるけれども、安全な試験湛水の実施はもとより、治水上、地元関係住民、紀ノ川流域の住民の安全な生活に直結するダムの供用のための操作規則、これらの策定にむけた協議を始めておりますが、河川管理部門を中心に、住民の安心安全の確保と同時に早期の供用開始の実現を引き続き国に対して求めていく考えでございます。
 先の、本会議でも土木部長から答弁、申し上げましたけれども、その際、議員から、地元の方々は地元のことを一番よく知っている、だから試験湛水があれば、そういうひび割れができるのではないかというような意見があったということを聞いております。ですから、今後は、こういう安全安心に管理をしていくためには、地元の方々の細やかなご意見をおうかがいしながら、安全安心対策に万全を期していただくよう県から要望しております。
 また別の議員からは、ダムが完成すれば水が十分に確保ができるけれども、たとえば水があまるのではないかということも、ご懸念がございました。そのことは3年、4年前から想定しており、「県域水道ビジョン」、これは県営水道や市町村の簡易水道だけではなくて、県域全体を1つの水需給地域だと考えて、県の水道の水とか市町村が独自にためている水とか、そういうものを総合的に利用することによって、できるだけ、安全で安心、しかも安価な水需給が実施できるのだと考えております。

                                                       (了)