各消防本部の課題と直面する課題には独自性が大きく「差」がある
本当に「広域化」が唯一の手立てなの?
葛城市消防本部に太田、宮本県議と春木市議が訪問
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山辺広域一部事務組合に小林、山村県議、荻原市議、奥谷村議が訪問しました
奈良県は今ある13の消防本部を県1つの消防にする「広域化」を、2013年度を目標にすすめています。ところが、協議はなかなかうまくいかず、今年にはいって奈良市消防本部、生駒市消防本部が撤退しました。広域化計画をどうするのか、注目されるところです。
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日本共産党県議団は、これまでに西和消防、中和消防の各消防本部を訪問し、直面している課題などについて意見交換をしてきましたが、今の新しい状況のなかで、各消防本部がどう考え、具体的な要望、課題はどういうものかを聞きとるために、このほど葛城市消防本部と山辺広域一部事務組合(市議会内の会議室で)を訪ね、消防長、同次長、総務課長らと意見交換をおこないました。
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共通する課題として浮かび上がったのは、消防や救急にとって「初動」の「一刻」がなにより重要で、すべての職員が高い意識をもって、また強いチームワークのもと奮闘しているが、財政的な問題などもあり、現状を維持することに困難があること。その現状は、ポンプ車、救急車など装備は欠かせないためほぼ充実させているが、人員は国基準は満たせず、中には条例定数も満たせないでいる状況があること。救急出動が年々増加する傾向にあり、救急車が複数で同時間帯に出動するのが常態化している。隣接する消防本部との連携協定があるため、本部内で対応できない事態が生じた場合、近い消防本部に「要請」をして、出動してもらうようになっているが、その判断には、短いものではあっても時間が必要(時間がかかる)であること。これらのことのため、「広域化」には期待する面が大きい。
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同時に、消防、救急の仕事はお金には変えられない、損得では考えられないものであること。「支出を減らす、減らしたいということは、何か、必要なものを減らすか、サービスを減らさずに合理化することしかない」。現状でも国基準には遠く及ばす、条例基準も満たせないなかで、すなわち、必要な支出が確保できていない現状のなかで、新しい通信のデジタル化をやり、施設の耐震化をやり、人員を確保しなければならない課題が常に突き付けられているということも明らかになりました。
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消防職員は、消防、救急活動ならなんでもこなす、オールマイティが求められ、かつ兼務、兼務で仕事をこなしている職員ばかりで、何かだけをやっている職員などは、幹部職員を除いてほとんどいないのが現状。したがって、事務部門に配置されている人員を現場にまわすことができるという説明には説得力がありません。
同時に、〇事後にでもできる火災などの原因調査や〇消防本部を超えての人事交流、〇緊急出動を含む連携の緊密化・拡充、〇通信・指示業務の統一などの業務は、消防本部単位でなくとも、現在の在り方のなかでも検討の余地があることが解ってきました。
住民のいのちや財産を火災や病気・事故から人命を守り、助けることが使命である地方自治体の消防、救急活動をレベルを落とすことなく、むしろ拡充するために合理的にサービスの提供を継続することは、県から提案されているような「広域化」しか手立てとしてないのか、そのことが本当に各市町村や各消防本部のもつ課題の解決になるのか、そして「消防の広域化」が、なにより住民が安全・安心して暮らしやすいまちづくりになるのか。
現場の声を尊重して、今後の検討に活かしたいと考えています。
(了)