日本共産党奈良県議団
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政策・主張
政策・主張県立高校制度についての日本共産党の当面の提言

2003年7月25日

日本共産党奈良県委員会
日本共産党奈良県議会議員団

県立高校の再編年次計画を撤回し
生徒・教職員・県民の願いに応える県立高校制度に改革を

はじめに

 奈良県教育委員会が6月13日に発表した県立高校再編年次計画(以下「再編計画」)にたいして県民の批判が広がっています。
 日本共産党奈良県委員会は、今年1月に「学校教育の諸困難を打開し、子どものすこやかな成長をはかる教育改革についてのさしあたっての提言」を発表しました。その第5章「県立高校の当面する改革について」で「県立高校将来構想の答申」、「県立高校再編計画の中間報告」の問題点を明らかにし、県立高校の削減と統廃合に反対し、普通高校の30人以下学級への移行によって統廃合をおこなわず、希望者全員入学をめざす当面の県立高校制度改革について提言しました。
 そのなかで、第1に県立高校の統廃合は、現行の40人学級を前提にしたものであり、生徒数の減少が安定化するときにこそ、30人学級を基本にして、希望者全員の高校入学を実現するべきであり、そうすれば県立高校を統廃合しなくてすむこと(2002年度県予算を基準にすれば生徒数が8000人に減る2007年度には40人学級のままであれば現在255学級が220学級に減少、30人学級にすれば290学級に増え、教職員を340人程度増員し、その人件費・経費は50億円増の300億円あればよい)、第2に県立高校を10校削減する再編計画は県立高校の多様化をいっそう促進することになり、やがては中学校の多様化と通学校区の自由化へとつながり、受験競争のいっそうのゆがみをもたらすことなどを指摘しました。
 日本共産党は、こうした重大な問題をもつ「再編計画」の撤回を要求し、生徒・父母、県民の願いに応える県立高校の改革について提言し、県民のみなんさんの論議を呼びかけるものです。

一、拙速で乱暴な再編計画

 再編計画では、2004年度に統合される4グループ8校での来年度の生徒募集は、当該校ごとの募集が停止され、統合高校として募集となるために、中学校では生徒の進学希望校を確定する進路指導に困難をきたしています。たとえば学力格差の著しい高等学校の統合計画が含まれていますが、統合で廃校になる高校に受験しようと考えていた生徒が、統合高校に受験しようとしても合格する保障があるかどうかきわめて疑問です。また、2005年度に統合される5グループ10校をはじめ、廃校になる学校に来年度受験する生徒がはたしてどれだけいるのか、中学校や父母の間に心配の声が広がっています。高校側では、再編のための実施要項が全教職員に示されていないために、学年途中で廃校になる学校では統合の準備をすすめながら、生徒の教育課程・学習指導をどうしていくのか、進路指導をどうしていくのか、「母校がなくなる」ことでショックを受けている生徒や同窓生にどう納得してもらうかなど複雑な問題が生じています。
 学校の統合・再編成をおこなう場合には、両校の学校長をはじめ関係者で協議していくのは当然ですが、基準となる実施要項が公表され、具体的な統廃合の過程が当該校の全教職員・生徒・父母、中学校、地域住民に示され、その声が反映されるシステムをつくってすすめられなければなりません。今度の「再編計画」は、学校長にすら直前まで知らされず、統合で廃校になる学校は、もちろん、県教委の頭ごなしのやりかたに批判や反発がおこっています。今回の「再編計画」は、周到な準備もない、たいへん拙速で乱暴な計画といわなければなりません。

二、「行きたい高校」に、行きたくても「行けない」再編計画

 「再編計画」は「『行ける高校』から「『行きたい高校』へ」というキャッチフレーズを最大の眼目にしています。しかし、今回の再編・統合計画で、進学を希望するすべての中学生がはたして「『行ける高校』から『行きたい高校』に行けるようになるのでしょうか。小・中学校から学力の格差の両極分化がひろがり、県立高校の数だけ「学校格差」が存在しているといわれる現状を抜本的に改革することなしには、「行きたい高校」へは「行きたく」とも「行けない」生徒が少なからずでてくるといわなければなりません。そのことは、再編計画で統合される高校の組み合わせや統合の対象になっていないが「再編計画についての報告」に示された高校の特色づくりの目標をみても明らかです。
 たとえば、来年度に統合する計画のなかには、学力水準の格差が著しい高校の統合があります。もちろん、大学進学という角度から生徒の「学力」をみるのは一面的であり、正しくありません。しかし、現実には国公立大学や「有名」私立大学に進学する生徒が多い県立高校と、大学・短大はもちろん、専門学校への進学もかなりむずかしい県立高校が統合しても、後者の高校に進学を考えていた生徒が、統合で残る高校に「行きたい」と希望しても、いまの入学選抜制度では「行けない」ことは、既成の「事実」となっています。また、「時代を担うスペシャリストを目指す高校」として「ものづくりとビジネスを共に学ぶ専門高校」「ビジネスと情報を共に学ぶ専門高校」として、ITやバイオ技術など先端技術の活用が強調されています。ものづくりやビジネスのスペシャリストを育てる専門高校でスペシャリストになるうえで基礎学力が大事であることは「県立高校再編計画につの報告」ものべてはいます。しかし、現実には、基礎学力が身につかないまま、県立高校に進学する生徒が少なからず存在しています。この学力低下問題を解決することなしに、県立高校の特色づくりを目玉にしただけでは「行きたい高校へ」といっても、希望通り「行けない」生徒が少なからず出てくるのではないでしょうか。
 「再編計画についての報告」は、高校教育や県立高校の現状とかかえる課題について整理して高校進学率が97%となるなかで「行きたい高校」より「行ける高校」への選択傾向、それに伴う高校の序列化などをあげ、生徒が本当に「行きたい」と思える県立高校づくりを目指して再編計画を検討したとのべています。
 しかし、今度の「再編計画」は、「行きたい」県立高校に進学を希望しても、県立高校の「学力」格差が厳然として存在し、入学選抜制度が抜本的に改善されない限り、希望する県立高校に行きたくても、「行けない」計画だといわなければなりません。

三、学力・進路保障、教育条件整備の欠如した再編計画

 「再編計画についての報告」は、生徒の学習ニーズにこたえ、社会の要請に対応した「特色ある学校づくり」、「生徒一人一人の進路目標に対応した教育の展開や特色に応じた施設・設備の充実など魅力ある学校づくり」、「学校行事や部活動などが活発に行える活力ある学校づくり」をすすめる「望ましい学校規模」(1学年8学級320人を適正規模としている)と「高校の適正配置」をあげて、再編計画を具体化しています。
 しかし、今度の「再編計画」によって「再編計画についての報告」や県教委が強調している「基礎学力の徹底と豊かな人間性の育成」がはたして現実に保障されるのでしょうか。
 現行の40人学級(職業高校では37人学級)をそのままにして、「特色ある学校づくり」という名目で大学・短大・専門学校などへの進学に対応したクラス編成や教育課程の編成、部活の選択などが同一高校内でいっそうすすめられ、その結果、生徒間および高校間の学力格差がいっそう固定され、拡大するのではないかと危惧されています。
 また、これまで、基礎的な学力が比較的不十分のままであっても、生徒が進学していた普通科の高校が廃校で少なくなること、適正規模の学校といわれながら、1学年6クラス分の教室しか余裕のない信貴ケ丘高校へ上牧高校が統合されること、通学の便が広陵高校より駅に近くて利便がよい高田東高校が広陵高校に統合されることなどを見れば、43校を33校に再編成(11校廃校、単位制など三部制高校1校設置)することが「先にありき」の「県立高校リストラ計画」だといわざるを得ません。
 さらに、林業や農業、地場産業などの地域経済に貢献するスペシャリストの育成をめざすとしていますが、吉野高校から林業に就業する高校生が毎年一人かゼロであったり、田原本農業高校を卒業しても農業に就業する生徒がほとんどいない状況を学校教育の面からだけでなく、吉野林業や農業、地場産業の再生を図る県政全体の取組なしには成功する保障はありません。
 また、「施設・設備の充実」がうたわれていますが、実際には統合学校では、新たな教育内容に対応した施設の比較的大規模な整備が必要となる北和女子高校と田原本農業高校、奈良工業高校と奈良商業高校があります。それをのぞいては「予算がない」ということで廃校になる学校の施設設備を使うなど「統合高校といいながら施設設備は旧来のまま」といわれています。
 以上のように今度の「再編計画」は、40人学級を維持したままであり、生徒の学力や進路を本当に保障するものになっていません。また、40人学級を維持することや施設・設備の充実も一部をのぞいて財政的な裏打ちがほとんどない計画といわなければなりません。

四、生徒・教職員・父母・県民の願いに応えた県立高校制度に改革を

 検討委員会や県教委は、5000人の県民、高校生、中学生のアンケートの実施などで「再編計画」はおおむね賛成を得られたといっています。しかし、アンケート項目の設定自体が再編計画を前提にしたもので、43校から11校は廃校ないしは統合されることの賛否を問うたものではありません。
 「再編計画についての報告」には、再編にむけての取組にあたって「生徒や保護者はもとより、地域の人々や広くは県民に周知し、理解を図るとともに、その意見や指摘は率直に受けとめて、改善の努力を怠らないことが必要である」としています。そして「教育目標は何か。・・どんな課題を抱えているか、それをどのように改善しようとしているのかなど、学校の取組や実態を恒に明らかにする」ことの重要性を指摘しています。この指摘に照らしても「再編年次計画」は、準備がソフト面の工夫ですむといっても来年度から4グループ8校を統廃合することには無理があります。
 わが党は6月定例県議会において、この「再編計画」を撤回すること、30人学級にすれば現状の高校を存続できること、県民、生徒、教職員の意見をよく聞いて県立高校制度の改革計画を立案することなどを提案してきました。
 ここにあらためて、県教委に「再編計画」の撤回を要求し、生徒がピーク時にくらべ六割に減少することが見込まれる2007年には30人学級にすることを目指して、現県立高校を存続することを強く求め、進学希望者の全員入学、選抜試験でない適性検査を実施することを提案します。「多様化」「序列化」の促進でなく、すべての生徒に基礎学力と豊かな情操、健康な体力を保障し、教育基本法を生かした県立高校の改革をすすめるよう強く要望するとともに、県民あげての討論をよびかけるものです。(了)

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